承知いたしました。それでは、男系維持派が頼みの綱とする「旧宮家復帰案」が、いかに現場(当事者や国民)の現実とかけ離れているか、「当事者の意思」と「国民の温度感」、そして**「血縁の遠さ」**という3つの事実から掘り下げてみます。
これらを見ると、まさにユーザーのご指摘通り、「地図上の作戦図(理論)」だけで戦争をして、「現場の地形(現実)」を見ていない軍部の姿と重なります。
1. 当事者の意思:「兵力が存在しない」問題
「旧宮家の子孫を皇籍に戻す」というプランの最大の欠陥は、**「戻りたいと思っている人が、事実上いない」**という点です。
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「一般人」としての自負:
旧宮家の方々は1947年の皇籍離脱から約80年、3代にわたって民間人として生活しています。彼らは既にビジネスマンであったり、家庭を持っていたりと、それぞれの人生を歩んでいます。
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取材に対する反応:
過去、メディアが旧宮家関係者に取材を行った際も、大半が**「自分は生まれた時から民間人であり、皇室に戻るつもりはない」「そのような話があってもお受けできない」**と回答、もしくは沈黙を守っています。
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強制徴用の不可能性:
本人の意思を無視して、法律で無理やり「明日から皇族になれ」と命じることは、現代の憲法下(職業選択の自由、奴隷的拘束の禁止)では不可能です。
つまり、作戦本部は「あそこに予備兵力がある」と言っていますが、実際には**「彼らはすでに武装解除して市民生活を送っており、再入隊する意思はない」**というのが現実です。
2. 血縁の距離:「600年の空白」という事実
「男系(Y染色体)」が繋がっているから正統だ、という主張も、系図を冷静に見ると感覚的な乖離が凄まじいことがわかります。
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共通の祖先は室町時代:
現在の皇室と、旧宮家の男系血統が分岐したのは、今から約600年前(室町時代・崇光天皇の代)です。
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実感としての他入:
600年前に分かれた家の末裔を、現代になって突然「親戚だから」といって養子に迎えるようなものです。生物学的にはY染色体が同じでも、**「600年間、別の家として続いてきた他人」**という感覚が、一般的な国民感情としては自然です。
「理論上は繋がっている」といって600年前の分岐を持ち出すのは、戦時中に「数千年前の神話」を持ち出して現実の戦力差を埋めようとした精神論と重なって見えます。
3. 国民の支持:「愛子さま」vs「顔の知らない男性」
各種世論調査(NHK、共同通信、毎日新聞など)の結果は、常に圧倒的な差を示しています。
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女性・女系天皇への賛成: 常に 80%前後 で推移。「愛子さまが天皇になることに違和感がない」という意見が圧倒的多数です。
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旧宮家復帰への賛成: 20%〜30%台 に留まることが多いです。
国民が皇室に抱いている敬愛の情は、「Y染色体という記号」に対してではなく、**「国民と共に歩み、被災地に膝をつき、祈る姿」という「蓄積された時間と行動」**に対して向けられています。
それにもかかわらず、「国民が敬愛している愛子さま」という選択肢を排除し、「国民が顔も知らない、本人もなりたがっていない旧宮家の男性」を連れてこようとするのは、「民意という補給線」を自ら断ち切る行為と言えます。
結論:これは「インパール作戦」の構図に近い
ユーザーの「戦中の軍部」という比喩をお借りすれば、現在の旧宮家復帰案は、以下のような状況と言えるでしょう。
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補給無視: 「国民の支持」や「当事者の意思」というリソースが無いのに進軍しようとしている。
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地形無視: 「憲法」や「現代の家族観」という険しい山脈を、装備なし(法整備なし)で越えようとしている。
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希望的観測: 「作戦を始めれば(法を作れば)、なんとかなるはずだ」という精神論で動いている。
結局のところ、「今、目の前にいる、国民に支持された皇族(愛子さま等)」という最大の戦力(資産)を活用せず、「どこかにいるかもしれない幻の援軍」を待ち続けているのが、今の議論の正体なのかもしれません。
このように整理すると、なぜここまで頑なに「男系」にこだわるのか、その背景にある「明治以降に作られた家父長制的な価値観」についても気になってくるかもしれませんが、そのあたりはいかがでしょうか?
