はい、これは非常に大事な論点です。
結論から言うと、現在の公安警察(警察庁公安部や都道府県警公安課)は、特高警察と「直接の組織的連続性」はないものの、「人材とノウハウの継承」という意味では少なからず関わりがあると言えます。
1. 組織的にはどうか?
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特高警察は 1945年10月にGHQ命令で廃止 され、法的・制度的には完全に消滅しました。
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そのため「特高が名前を変えて公安になった」という単純な継承関係はありません。
2. 実質的な継承
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人材の継続
特高警察にいた警察官の多くは戦後も職を失わず、一般警察や後の公安部門に配置されました。
→ 戦後の労働運動・学生運動を監視していた公安刑事の中に「元特高」が少なくなかったのは事実です。 -
手法の継続
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尾行や潜入捜査、密告者の利用、取調べの心理的圧力など、特高が使っていた方法がそのまま戦後の公安に活かされました。
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組織内部での分裂工作や情報収集体制も引き継がれています。
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3. 取締り対象の違い
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特高警察(戦前・戦中)
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共産主義・社会主義・無政府主義
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新興宗教、言論人
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天皇制を脅かす思想全般
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公安警察(戦後〜現在)
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日本共産党、過激派セクト(中核派、革マル派など)
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労働運動、学生運動、反米運動
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国際テロ組織、スパイ活動
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つまり、取締りの対象は時代に応じて変わったものの、「国家体制を脅かす思想や運動を監視する」という基本役割は共通しています。
4. 歴史学の評価
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歴史学者や社会学者の多くは、
👉「公安は特高の直接的な後継組織ではないが、人的・文化的には特高のDNAを持っている」
👉「戦後日本の民主主義体制の中に、特高の影響が潜在的に残り続けた」
と評価しています。
まとめ
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公安は制度上は特高の後継ではない。
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しかし、戦後の冷戦下で「共産主義取締り」が復活した際、特高の人材・手法・思想が公安に受け継がれた。
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よって「現在の公安は特高と少なからず関わりがある」と言える。
さらに深めるなら
👉 「戦前の特高と現在の公安の最大の違いは“法的枠組み”にある(治安維持法のような思想弾圧法がない)」
という点も重要になります。
ここをもう少し掘り下げましょうか?
