なるほど、その点を具体的に掘り下げると面白いです。要するに、戦前・戦中の日本が抱えていた組織的・文化的な問題のいくつかは、戦後70〜80年経った今でも、制度や文化として完全に消えていないという意味です。もちろん、現代の日本は戦前とは全く違う状況ですが、構造的な傾向や心理・行動パターンの残滓が見えることがあります。具体例を挙げます。
1. トップの意思決定の慎重さと調整優先
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戦前:統帥権独立で陸海軍が別々に動く → 統一戦略が立てられず、作戦がバラバラ
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戦後:政治家・官僚が合意形成や調整を重視する傾向
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大規模な改革や長期戦略は慎重になりすぎる
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結果として、迅速な意思決定が難しいことがある
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2. “和を尊ぶ文化”のリスク
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戦前:対立を避けるために現実的な議論より精神主義やプライドが優先
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戦後:職場や官庁・企業で「和を乱さないこと」が評価される傾向
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異論を出しにくい
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新しいアイデアや大胆な戦略が採用されにくいことがある
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3. リスクの過小評価・現状維持志向
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戦前:敵国の技術力や生産力を過小評価 → 無謀な戦争
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戦後:大規模リスクに対して慎重になりすぎる傾向
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革新的な技術投資や国際政治上の主張に消極的
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経済力はあるのに国際舞台で存在感が薄く見えることがある
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4. 責任分散の文化
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戦前:大本営や軍部内部で責任が曖昧 → 誰も撤退や終戦を決められず長期戦に
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戦後:官僚制度や政治制度で「責任を明確に取ることが難しい」構造が残る
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政策決定のスピード低下
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長期戦略や大胆な外交の停滞
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まとめると
「完全に克服できていない」とは、制度や文化の残滓が現代にも微妙に影響しているということです。
戦前の軍部は極端に機能不全でしたが、現代ではそれほどではないにしても、意思決定の慎重さ・調整重視・リスク回避傾向・責任分散の文化は、長期的な国家戦略や国際的な存在感に影響していると分析できます。
言い換えれば、能力や技術は十分でも、意思決定の質・戦略的発想力に制約がかかる傾向が残っている、とも言えます。
もし望むなら、ここからさらに具体的に「現代日本の政策や国際的立場にどう影響しているか」を歴史の視点から分析してみることもできます。
やってみますか?
